1. 基本情報
奥川 恭伸(おくがわ やすのぶ)
生年月日:2001年4月16日
出身:石川県
打席:右投右打
ポジション:ピッチャー
2. 経歴
星稜高校→ヤクルト(2020〜 )
3. 2018〜2019の甲子園
「高校野球史上、最強のピッチャーは誰か?」。よくこんなタイトルの記事や動画を目にする機会があるが、それを一人に決めることはおそらく不可能であると考える。不可能であるが、その候補の一人と言えるのが、今回紹介する奥川恭伸(ヤクルト)である。
今から7年前、2018年の夏の甲子園は記念すべき100回目の大会であった。開会式直後の第一試合に登場したのは石川代表の星稜。まずマウンドに上がったのは先発ピッチャーの奥川、ではなく、始球式を務めることになっていた同校OBの松井秀喜。5打席連続敬遠を受けた最強バッターのファーストピッチで記念大会の幕が上がったのであった。
当時2年生の奥川は藤蔭(大分)相手に好投。見事勝利に貢献した。2回戦の先発も務めた奥川は、しかし4回途中で足が攣ったために無念の降板となる。想定外のアクシデントに見舞われた星稜だったが、済美(愛媛)相手に8回表まで8-1とリード。このまま勝利も近いと思われていた。ところが、ここから済美打線が目覚め、一挙8得点を奪って逆転に成功する。星稜も最終回に粘りを見せて9-9の同点に追いつき、試合は延長戦に突入する。一進一退の攻防の中、タイブレークの13回表に2点を勝ち越した星稜だったが、その裏にまさかの逆転サヨナラ満塁ホームランを浴びて敗北。甲子園の歴史に残る劇的な一打で奥川の最初の夏は幕を閉じた。
それから1年後、夏の甲子園には再びタイブレークを戦う奥川と星稜の姿があった。3回戦の智辯和歌山との試合は1-1のまま延長戦に。尻上がりに調子を上げて好投する奥川は、しかし11回の途中で足が攣ったような仕草を見せる。前年と同じようなアクシデントに見舞われ、誰もが不安に思う中、サポートの手を差し出したのはなんと智辯和歌山側。黒川(楽天)がタブレット薬を提供し、これを服用した奥川は回復。タイブレークの延長14回165球を投げ抜き、奪った三振数は23。福本のサヨナラ3ランで激闘を制したチームは、見事1年前の雪辱を果たしたのであった。
奥川は準々決勝では登板せず、準決勝の中京学院大中京(現 中京)戦で先発。東海大相模、作新学院と言った強豪を倒して勢いに乗る相手に対し、序盤からエンジン全開。付け入る隙を与えず、7回2安打無失点と完璧な投球を見せ、9-0で勝利したチームは初優勝をかけて決勝に進出した。
その決勝の相手は大阪代表の履正社。この年の選抜の初戦でも対戦し、その時は3-0で星稜が勝利していた。しかし、リベンジに燃える履正社打線は3回に井上(阪神)がバックスクリーン横に逆転3ランを放つ。奥川も粘りの投球で、その後は追加点を与えなかったが、終盤に勝ち越し点を許して敗北。惜しくも優勝は逃す結果となった。
プロ入り後は、2年目に9勝を挙げてチームの日本一制覇に貢献。しかし、その後は右肘の故障で期待されたような活躍ができているとは言い難い。それでも、高校野球史に残る最強ピッチャーの一人としての実力に疑いの余地はなく、コンディションを整えての復活に期待したい。
4. 査定
5. 査定ポイント
(基礎能力)
・球速:MAX.154km/h
・コントロールB75:四球率は1.6。ストライクゾーンが広い高校野球とは言え、非常に制球力に優れていた。
・スタミナA86:延長14回を投げ抜いたように、スタミナは十分。
・変化球:スラーブ5、フォーク2、チェンジアップ2。
(特殊能力)
・奪三振:夏は打たせてとる投球を意識しているように見えたが、選抜の履正社戦では17個、前述の智辯和歌山戦では23個奪うなど、三振を取る能力には優れている。
・キレ○:特にスライダーの切れ味は抜群。
・尻上がり○:回を重ねるごとに投球に凄みが増していた。
パワナンバー:12000 21024 03758