パワプロ劇空間

パワプロの再現選手や栄冠ナイン、高校野球について語ります

高校野球について語る #20 選抜観戦記①

選抜観戦紀 #1 済美(愛媛) vs 東北(宮城) (2004年)

「やればできるは 魔法の合言葉」

2004年4月2日。当時学生の筆者は春休み中であり、暇さえあれば甲子園球場に通っていた。この日は選抜高校野球の準々決勝第三試合を見るため、午後から自転車を漕いで甲子園球場へ向かった。対戦カードは済美vs東北である。

 

ダルビッシュはレフトでスタメン

バックスクリーンよりのライトスタンドに着席した時には既に試合が動いていた。先行の東北が初回に3点を先制。先発は済美福井優也(元広島)、東北は真壁。ダルビッシュはレフトで出場。ダルビッシュが先発しなかったのは準決勝を見据えての登板回避の意味合いもあったと思われるが、どちらかと言うと済美との相性を考えてのことであったと、当時は考えていた。実は明治神宮大会済美戦に先発していたダルビッシュは、相手打線に捉えられて0-7のコールド負けを喫していたからである。しかし、後々調べてみると、2回戦で肩に力が入らなくなっていたダルビッシュの状態を若生監督が考慮していたとのことであるらしい。

 

・東北が優勢に試合を進める

3回までは4-2と点の取り合い。以降は東北がじわりじわりと引き離す展開となった。そして6-2と東北リードで9回裏を迎える。当時の筆者は前年夏の甲子園準優勝校である東北高校に是非とも優勝して欲しいと考えており、「済美高校なんてよく知らない高校になんか負けるわけない」と思っていたのは、19年経過した今でも鮮明に覚えている。

 

・勝負を急いだバッテリー

しかし、中盤以降は相手打線を完璧に封じていた真壁が連打で失点すると、さらにもう一点を失い6-4とリードが2点に。しかし、スコアボードの赤ランプは2個点灯している。すなわち、勝利まであと1アウトとなっていた。

「ここまで来たら勝てる」

しかし、ここで済美が再び連打。1番バッターか2番バッターかは忘れたが、1塁側に切れていくファールフライをキャッチできていれば試合終了と言う場面もあったが、風に流されてキャッチはできず。そして現実は2死1、2塁。一発が出れば逆転サヨナラの場面である。1塁側の済美高校のアルプスからの声量は大きくなっていたが、真壁は相手バッターの高橋勇(元阪神)を2ストライクに追い込む。追い込まれた高橋もここからファールで粘る。この時、当時のテレビ中継では解説が「(東北の)真壁君と森君のバッテリーは勝負を焦らないことです」と言っていた🚩。その直後に真壁が投じた勝負球はシュート回転して真ん中付近に。これを高橋はジャストミート。打球はダルビッシュのいる左中間方向に。ライトスタンドで見ていた筆者は打球角度を見て、その後の展開がすぐにわかった。

逆転サヨナラスリーランホームラン

打たれた真壁はマウンド上で立ち尽くし、全く関係ない筆者は座ったまま呆然としていた。記憶に残っているのは、スコアボードに表示された9回裏の『5x』の文字を、ただただ見つめていたことしかない。第三試合を見たら帰ろうと考えていたが、気がつけば第四試合の明徳義塾東海大山形の試合を7回裏まで見ていたのであった。

 

(まとめ)

おそらく、私が高校野球を生で観戦した中ではこの試合が歴代No.1のゲームだと思います。今でこそ有名な済美高校の校歌のワンフレーズにある「やればできるは 魔法の合言葉」は、この試合から知られるようになったと思います。あまりの衝撃的な結末もあってか、今でも鮮明に当時の記憶が蘇ります(笑)。ですので、当時の状況もなるべく詳しく書いてみました。次回もお楽しみに!。