パワプロ劇空間

パワプロの再現選手や栄冠ナイン、高校野球について語ります

【パワプロ2023】辻内崇伸(2005 大阪桐蔭高校)

甲子園最速サウスポー

1. 基本情報

辻内 崇伸(つじうち たかのぶ)

生年月日:12月5日

出身:奈良県

打席:左投左打

ポジション:ピッチャー、ファースト

2. 経歴

大阪桐蔭高校

・巨人(2006〜2013)

3. 2005年夏

大阪桐蔭高校のエースとして乗り込んだ第87回選手権。現在では超名門と言われる大阪桐蔭も、当時の西谷監督はまだ甲子園通算わずか1勝であった(体型もスリム)。大阪大会を4割を超える打線で勝ち上がり、優勝候補として初戦の春日部共栄(埼玉)と対戦。しかし、辻内が序盤から打ち込まれる。また、コントロールも乱れてワイルドピッチなどで失点を重ねると、5回途中5失点でマウンドを当時1年生の中田翔(中日)に譲る。打線は前評判通りの力を発揮して5回に逆転。同点に追いつかれた7回には中田がレフトスタンドに勝ち越しホームランを放つ。中田は粘りの投球でリードを守り切り、9-7と苦しみながらも初戦を突破した。

 

(左)力投する辻内 (右)中日からドラフト指名された平田と西谷監督

2回戦は藤代(茨城)と対戦。初戦のリベンジを果たすべく先発した辻内は、速球と変化球のコンビネーションで相手を翻弄。積み重ねた三振数は当時の大会記録となる19個。打線も平田(元中日)のホームランなどで辻内を援護して快勝した。

3回戦は05年選抜王者の愛工大名電、04年選抜王者の済美を下して勢いに乗る清峰(長崎)。しかし、地元長崎から駆けつけた大応援団にも臆せず、辻内は好投。9回に1点を返されたが後続は打ち取りベスト8に進出した。

準々決勝は東北(宮城)。筆者もバックスクリーン側のライトスタンドで観戦。この試合は平田のワンマンショーとなる。第一打席にレフトスタンド、第二打席は左中間スタンドに2打席連続ホームランを叩き込む。逆転された5回裏にはあとフェンス直撃のタイムリー。あと数cmでホームランの当たりを打つと、迎えた7回。東北バッテリーは勝負を避ける選択をしたかに見えたが、外角に構えたキャッチャーに対し、ピッチャー三浦が投じたボールはシュート回転して真ん中へ。これを平田は逃さずジャストミート。打球は筆者が観戦している近くに飛び込む逆転ツーラン。打った瞬間、ホームランを確信した周りの観客が総立ちでボールを迎えていた光景を、19年経過した今でも鮮明に覚えている。清原に並ぶ1試合3本塁打の平田の活躍で大阪桐蔭が勝利した。なお、辻内は5回に崩れたが、粘り強い投球で完投した。

全国制覇まであと2勝。準決勝で対峙するのは前年チャンピオンの駒大苫小牧(南北海道)。球史に残ることになる激闘を見ようと、炎天下の夏の午後の試合を筆者も甲子園球場に足を運ぶ。それまで球場で飲料を買おうと思ったことはなかったが、初めて水を買おうと考えるくらいの暑さであったことを覚えている。試合は2回に駒苫が相手のエラーもあって一挙5点を奪う。辻内はそれまでの試合と比べて制球力は良い方であったが、際どいボールを見極められて苦しんだ。それでも、3回以降はペースを取り戻して追加点を与えない。特に5回から9回は一人のランナーも許さない完璧なピッチングをみせる。すると、7回に1点を返した大阪桐蔭は、2死1塁から辻内が左中間に追撃の2ランを放つ。大阪府大会打率1割台で打撃がそこまで良くなかった辻内だが、田中将大(楽天)のストレートを完璧に捉えた当たりであった。これで試合は大阪桐蔭ペースになると、8回にも2点を取って同点。試合は延長戦に突入する。

迎えた10回表の駒苫の先頭バッターは林。前年にサイクルヒットを達成したキャプテンは、この試合辻内から3本目のヒットとなるツーベースを放ってチャンスメイク。先頭バッターとして完璧な役割を果たすと、1死3塁から打席には辻。勝ち越し点を与えまいと、2ストライクと追い込んだ辻内は渾身のストレートを高めに投げ込む。しかし、これを辻がジャストミートして打球はライト戦を抜けるツーベース。駒苫にとっては貴重な、大阪桐蔭にとっては痛恨の一打となった。

1点を追いかけるその裏。大阪桐蔭は2アウトながらランナー2塁と同点のチャンスを作り、ここで打席には東北戦で大暴れした平田。筆者の頭の中では敬遠もよぎったが、駒苫バッテリーは勝負。先発田中にタイミングがあっていなかった平田が対峙するのは2番手吉岡。カウント2-2となった場面でキャッチャーに打球が当たったことによる治療で数分間が空いた後、吉岡が投げたスライダーを平田はハーフスイング。しかし判定はスイングで三振。こうして激闘は駒大苫小牧の勝利で幕を閉じた。なお、最後の場面を筆者はよそ見をしていて見逃すという失態。もう暑過ぎて頭もぼーっとしていた記憶が(笑)。間が空いてプレーがかかっていたことに気づいていなかったこともあるが。

こうして辻内と平田の夏はここで終わりを迎えた。秋の高校生ドラフトで辻内はドラフト1位で巨人に指名される。超高校級サウスポーのプロでの活躍が期待されたが、怪我に苦しみ在籍8年間で一軍登板は0。2013年に戦力外通告を受け、現在は秋田県でALSOKの一員として日々の仕事をこなしている。

4. 査定

5. 査定ポイント

(基礎能力)

コントロールF38:BB/9は4.5。荒れ球、乱調をつけた分高めに。

変化球:フォーク、カーブ。

(特殊能力)

奪三振:春日部享栄戦以外の4試合はいずれも二桁奪三振をマーク。

れ球:当時の高校生から見れば速球の威力は十分であったが、制球力は課題であった。

牽制駒大苫小牧戦ではランナーを誘い出してアウトに。

対ピンチE:得点圏被打率は.316、ランナーなし時の被打率は.210。

クイックF:牽制が上手い一方で、クイックタイムは1.4秒を超えることが多い。

乱調:立ち上がりが課題であったが、序盤に限らず突然制球が乱れることが多々あった。

パワナンバー:12900 72580 42947